行政がマンション転売に「待った」|千代田区が5年間転売禁止を要請、その影響と対象者とは?
- AnzenBlog
- 2025年12月17日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年12月22日

都心マンション市場に異変。千代田区が転売制限を要請
2025年7月、東京都千代田区は不動産協会などの業界団体に対し、新築分譲マンションの購入後「原則5年間の転売禁止」を求める要請を行った。
狙いは、近年加速する投資目的の短期転売(いわゆる“投機”)を抑制し、本当に住みたい人が購入しやすい環境を整えることにある。現時点で、同様の方針を明確に打ち出している自治体は千代田区のみだが、今後ほかの都心区へ波及する可能性もあり、マンション購入を検討する人にとって見逃せない動きとなっている。
千代田区が要請した「転売制限」の具体的な内容
今回、千代田区が不動産事業者に求めた主な内容は次の2点だ。
① 引き渡しから原則5年間の転売禁止
購入者は、物件の引き渡しを受けてから原則5年間、第三者への売却(転売)ができない。
② 同一名義での複数戸購入の制限
一つの物件において、同一名義で複数住戸を購入することを禁止。
対象となるマンションは?
すべての新築マンションが対象ではない。
主に以下のような公共性の高い再開発事業が想定されている。
・補助金の交付を受けている
・容積率や高さ制限の緩和を受けている
・都市再開発事業の一環として供給される物件
つまり、行政支援を受けた再開発マンションほど対象になりやすいという点が重要だ。

なぜ今、転売制限なのか?背景にある市場の変化
築浅マンションの転売が急増
REINS(東日本不動産流通機構)のデータによると、
2025年1〜3月期における東京23区の中古マンション成約件数は、
築5年以内:415件(前年比+4.8%)
築10年以内:768件(前年比+10.8%)
と、築浅物件の流通が明確に増加している。
これは短期保有→売却を前提とした購入が増えていることを示唆している。
外国人投資家の存在感も拡大
都心部では、海外投資マネーによる購入→短期転売が価格上昇を後押ししている構図が見え隠れしている。

転売制限は価格高騰を抑えられるのか?
現時点で千代田区の要請には、法的な拘束力はない。
あくまで行政から業界団体・不動産事業者への要請にとどまる。
ただし、次のような効果は期待できるだろう。
・投資目的の購入が減少する
・抽選倍率が下がり、実需層が購入しやすくなる
・短期的な価格上昇が抑制される
実際に、一部の不動産会社では、自主的に短期転売防止の特約を設ける動きも出始めており、今後は市場慣行として定着していく可能性もある。
転売制限付きマンションのメリット・デメリット
メリット
・投資家が減り、抽選や過度な価格競争が起きにくい
・居住者の入れ替わりが少なく、落ち着いた住環境が期待できる
・資産価格の急変動が抑えられ、長期的な生活設計を立てやすい
デメリット
・転勤などやむを得ない事情があっても、5年間は原則売却不可
・住み替えを前提とした購入には不向き
・制限期間中に価格が上昇した場合、売却機会を逃す可能性がある
まとめ|マンションは「投資」か「暮らし」か
売却そのものを否定するものではなく、あくまで短期的な投機を抑制するための対策である点は理解しておきたい。
今後、他区や他自治体へ同様の動きが広がれば、マンション選びの基準は
・いくらで売れるか
・どれだけ値上がりするか
だけでなく、
・どんな暮らしができるのか
・どれくらい住み続けられるのか
といった、生活に軸足を置いた視点が、より重要になっていくだろう。



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