六本木が再び動き出す──「第二六本木ヒルズ」という挑戦
- AnzenBlog
- 9月16日
- 読了時間: 4分
更新日:10月20日

未来が姿を現す街、六本木──
都市が生まれ変わる瞬間を、私たちは目撃している。
東京・港区。「麻布台ヒルズ」の開業が記憶に新しい中、都市開発の雄・森ビルが描く次なる一手に、いま熱い注目が集まっている。
舞台は六本木──。
かつての繁華街が、再び進化のスポットライトを浴びようとしている。
「六本木五丁目西地区再開発」、通称「第2六本木ヒルズ」。
六本木ヒルズに隣接する約10.3ヘクタールの広大なエリアを対象とした、東京最大級の再開発プロジェクトだ。
森ビルと住友不動産という、二大デベロッパーがタッグを組むこの計画は、業務・商業・住宅に加え、エンターテインメント、文化、教育、交流機能といった多彩な都市機能を一体化し、六本木という街の“再定義”を目指している。
六本木5丁目西地区再開発事業基本情報
所在地:東京都港区六本木5・6丁目、麻布十番1丁目
開発事業主:森ビル株式会社、住友不動産株式会社
事業面積:約10.3ヘクタール(約8万平方メートル)
総延床面積:約108万平方メートル
総事業費:約8,000億円(日本国内の再開発事業としては過去最大級)
着工予定:2025年度
竣工予定:2030年度

六本木が抱えていた“見えない課題”──再開発の背景にあるもの

煌びやかな夜景、世界的ブランドが並ぶ商業施設、国際色豊かなレストランやギャラリー。六本木という街は、長らく“東京の顔”として華やかに語られてきた。
だがその一方で、駅周辺の街路には細く入り組んだ道が多く、老朽化した建物が密集。表面からは見えにくい“都市の課題”が、着実に積み重なっていた。
生活の“つまずき”を取り除く──解決すべき3つの課題
1|駅周辺に滞留空間がない六本木駅周辺は、通勤・観光・商業など多目的な人の流れが交錯するエリア。しかし現状では、人々が立ち止まれる“余白”が圧倒的に足りない。これが混雑や滞留、さらにはストレスの原因となっていた。
2|バリアフリー環境の不備駅構内には階段とエスカレーターしかなく、高齢者や車椅子利用者にとってのアクセス性は限定的。都市の“誰もが使える設計”という基本が、まだ十分に満たされていないのが実情だ。
3|乗り換え利便性の低さバス停やタクシー乗り場が点在し、地上と地下の連携も不十分。一つのハブとして機能するべき“交通結節点”としてのポテンシャルが、十分に活かされていなかった。
この再開発では、これらの課題に正面から向き合い、「駅まち広場」や「交通結節広場」の新設、道路ネットワークの再編、そしてエリア全体を貫くバリアフリー動線の構築が計画されている。
この街の「不便」や「古さ」を、未来の「魅力」へと転換する──
それが、六本木五丁目西地区再開発が描く、都市の新しい物語である。



5つの街区で構成される巨大複合都市

本プロジェクトは、A〜Eの5街区で構成される。

・A街区
地上66階・地下8階の超高層複合ビルを中心に、ホテル、劇場、展望施設、イベントホールなど都市の顔となる機能を集約。
・B街区
高さ288m・地上70階のタワーマンションがそびえ立ち、およそ800戸の住宅が国際水準のライフスタイルを提供する。
・C街区
東洋英和女学院の小学校・幼稚園が建設され、
教育と居住の融合を体現。
・D街区
既存の国際文化会館、イベントホール・ホテルなど文化の中核を担う。
・E街区
南住宅棟-100戸規模の中層住宅と店舗が配置され、生活の質を支える。

未来が姿を現す街、六本木
東京の中心でありながら、進化を続ける都市、それが六本木。
第2六本木ヒルズは、単なる建築群ではなく、「新たな街のアイデンティティ」として計画される。
超高層ビルとタワーマンション、文化と緑、防災と交通が融合した未来都市。そのスケールとビジョンは、まさに次世代の都市モデルそのもの。

20年前、六本木ヒルズがもたらしたのは、ただの再開発ではなかった。それは、“都市”という存在が持ちうる可能性を、私たちに初めて突きつけた瞬間だった。
そして今、第2六本木ヒルズが描くのは、「都市×人×未来」の新しい関係。
これは建設ではなく、再定義。六本木という街が、もう一度“都市の未来”をリードする。
その始まりを、私たちは今、目撃している。




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