あのエリアの“いま”-三田ガーデンヒルズが映す住宅市場の現在地-
- AnzenBlog
- 11月3日
- 読了時間: 3分

理想の邸宅か、投機の象徴か
東京・港区三田。
歴史ある丘の上に広がる大規模再開発「三田ガーデンヒルズ」は、竣工前から不動産市場の話題を独占してきた。
緑に包まれた広大な敷地、都心一等地の利便性、そしてブランド力。
いずれも申し分ない条件である。
だが、いま注目を集めているのは、必ずしもポジティブな理由だけではない。
超高額分譲の現実

分譲時点で価格は坪単価平均が1,300万円前後。
立地・階数・角部屋など条件が良い住戸はややそれを上回るとされていた。
住戸によっては販売開始から抽選倍率が二桁に達し、都心富裕層の間で熱狂的な人気を博した。
だが、一般的な家庭にとってはあまりに遠い世界であり、「高嶺の花」を超えた「別世界の存在」と化している。
転売市場での高騰

問題視されているのが、竣工前から始まったリセール(転売)だ。
購入直後に市場へ出された住戸は、数千万円単位で値を上乗せして取引されている例も確認されている。
具体的には、80㎡台の住戸で売却希望価格が 6億5,000万円〜7億3,000万円台。
これは坪単価でおおよそ 2,500万円〜3,000万円。
100㎡クラスの住戸になると、売却希望価格が 10億〜13億円台になっており、坪単価で 3,000万円〜3,500万円前後。
特に注目されているのが、「坪単価4,000万円で転売されている住戸もある」という報道。
これはかなり極端なケースとして、マスコミや業界内でも“限界値”扱いされている。
「実需のためではなく、転売益を狙った投資対象になっている」という批判が根強いものの、結果として価格はに吊り上がり、本来「住むための住宅」が「投機商品」へと変質しつつあるのだ。
問題点・批判になる理由

上記のような数字が出てくると、以下のような問題や疑問が浮かんでくる。
実住目的との乖離
分譲時の価格が庶民には手の届かない高価格であり、さらに転売でその数倍となると、「住むための住宅」ではなく「資産・投資対象」としての商品になってしまっている。
価格の過度な期待・バブル性
坪1,000〜1,600万円で販売されたものがわずか数年で坪3,000万円を超える売り希望価格になるというのは、かなりリスクの高い上昇であり、持続可能とは言いがたい。
将来的に価格が下がる可能性も否めない。
転売の即時性
引き渡し直後から“中古として出す”住戸が多く、「住まないまま転売を狙う購入者」がいるという報告もある。これは、「街づくり」や「コミュニティ構成」にとってマイナスとなる要素である。
市場の格差と心理的インパクト
このような高価格物件の存在は、近隣エリア全体の価格水準や期待値を引き上げ、他の物件を買おうとする人々にとって心理的なハードルを高めることになる。
近隣の麻布十番や白金高輪エリアの新築マンションは実際に、「坪単価1,000万円」が一種の新基準として定着しつつある。
「ガーデンヒルズは富裕層の資産運用口座になりつつある」との声すら上がっている。
象徴としての意味

三田ガーデンヒルズは、都心における新たなラグジュアリー住宅の基準を示すと同時に、「住宅の投機化」という日本の不動産市場の歪みを象徴する存在になりつつある。
果たしてこの街は、憧憬の対象として輝き続けるのか。
それとも、超高額転売の象徴として語られるのか。
その評価はすでに二極化している。




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