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晴海フラッグは成功なのか、失敗なのか

  • 13 分前
  • 読了時間: 4分

東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地に誕生した晴海フラッグ。


約5,600戸という巨大な住宅供給、都心近接の立地、広大な緑地空間。


東京の住宅政策を象徴するプロジェクトとしてスタートしたこの街は、完成前から大きな注目を集めた。


しかし、街が姿を現すにつれ、その話題は再開発の成功や街づくりだけではなくなっていく。


転売、民泊、白タク、そして住民コミュニティの問題——。


理想の街として描かれた晴海フラッグは、いま東京のマンション市場が抱える歪みを映し出す存在になりつつある。



「住むための街」ではなくなった瞬間


晴海フラッグ最大の特徴は、その価格だった。


都心近接でありながら、販売当時の価格は周辺の新築タワーマンションと比較して割安感が強かった。


結果として、実際に住むために購入した層だけでなく、値上がりを期待する投資家も大量に流入した。


街が完成する前から中古市場では高値で取引され、「どんな街になるのか」よりも「いくら儲かるのか」が話題になった。


本来、住宅は街が成熟することで価値を高めていく。

しかし晴海フラッグでは、街が完成する前に資産価値だけが先行した。



民泊の街になりつつあるのか


入居開始後、住民の間でたびたび話題となったのが民泊問題だ。


スーツケースを持った外国人旅行者の出入り。


頻繁に入れ替わる利用者。


深夜の騒音や共用部の使い方を巡るトラブル。


もちろん、すべてが違法民泊とは限らない。

しかし、本来は住宅として設計された大規模マンションに、不特定多数の短期滞在者が出入りする状況に違和感を覚える住民も少なくない。


特に晴海フラッグは、一般的なマンションというよりひとつの街に近い規模を持つ。


そのため、一部の住戸で起きた問題であっても、街全体のイメージに影響を与えやすい。



白タク問題が浮き彫りにしたもの


近年、晴海フラッグ周辺では、外国人旅行者の送迎を巡る白タク問題も報じられている。


旅行者を乗せた車両が頻繁に出入りし、住民以外の往来が増加。


住宅地として整備されたエリアでありながら、まるでホテル街のような光景が見られる場面もあるという。


問題の本質は白タクそのものではない。


住宅地として設計された街と、宿泊需要を取り込もうとする市場との間にズレが生じていることだ。


「住民の質」という危うい議論


晴海フラッグを巡る議論のなかで、しばしば聞かれるのが「住民の質」である。


このワードが飛び交うのは実際の住民の質というよりも、「住民の属性」が極めて多様化したことが背景にある。


実需で購入したファミリー。

投資目的で購入したオーナー。

賃貸で入居した世帯。

海外投資家。

短期滞在者。


これだけ異なる価値観を持つ人々が、同じ街で生活している。


従来の分譲マンションでは比較的共有されていた「住民同士の暗黙のルール」が成立しにくい環境になっているのである。


つまり問題は住民の質ではなく、コミュニティ形成の難しさだ。



夜景が語る違和感


晴海フラッグを訪れた人の中には、夜の景色に違和感を覚える人もいる。


巨大なマンション群でありながら、灯りが少なく見える棟があるからだ。


実際には引っ越し時期の違いなど様々な要因がある。

それでも、この光景が話題になる背景には、多くの人が晴海フラッグに「生活感」を求めているからだろう。


街は建物ではなく、人によって完成する。


いくら美しい建物が並んでも、コミュニティが形成されなければ街としての魅力は生まれない。



晴海フラッグが映す東京不動産の未来


晴海フラッグの闇とは何か。


それは民泊でもない。

白タクでもない。

転売でもない。


それらはすべて結果に過ぎない。


本質は、「住宅」が「投資商品」としての側面を強めすぎたことにある。


住むための家と、儲けるための資産。

街づくりと資産形成。

公共性と市場原理。

晴海フラッグは、そのすべてが交差する場所となった。


東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして誕生したこの街は、住宅供給という点では成功だった。


販売は好調で、資産価値も上昇し、多くの購入者に利益をもたらした。

再開発プロジェクトとして見れば、間違いなく成功例のひとつだろう。


一方で、民泊問題や白タク問題、投資目的の所有、そしてコミュニティ形成の難しさなど、本来想定されていなかった課題も浮き彫りになった。


街が完成する前に不動産商品として完成してしまった――そんな見方もできる。


不動産価格だけを見れば成功だろう。


しかし、街として成功したかどうかは別の話だ。


人が暮らし、コミュニティが育ち、地域としての個性が生まれる。その評価には10年、20年という時間が必要になる。


東京の再開発はこれからも続く。


築地、高輪ゲートウェイ、品川駅西口、湾岸エリア——。


そのなかで晴海フラッグは、ひとつの重要な問いを投げかけた。


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