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JR東日本の反撃――広域品川圏vsヒルズ

  • 2 日前
  • 読了時間: 5分


東京を作ってきたのは「ヒルズ」だった


東京の都市開発を語る上で、森ビルの存在は避けて通れない。


六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズ、そして麻布台ヒルズ。


森ビルは単なるビルではなく、「人を集め、滞在させ、消費させる街」をつくり上げてきた。

いずれも単なる不動産開発ではなく、オフィス、住宅、ホテル、商業施設、文化施設を一体開発し、新たな街そのものを生み出してきた。


つまり、東京の主導権を握ってきたのは駅ではなく、ヒルズだった。



広域品川圏は、ヒルズへの挑戦状である


一方で、長らく東京最大のインフラを握りながら、その主役の座を都市開発会社に譲ってきた企業がある。


JR東日本だ。


JR東日本が近年使い始めたキーワードが「広域品川圏」


これは単なる品川駅周辺の再開発ではない。浜松町から大井町までをひとつの巨大都市として捉え直し、その価値を最大化しようとする都市戦略そのものを指している。 


そして、この構想を読み解くと見えてくるのは、JR東日本がもはや「鉄道会社」ではなく、「都市運営会社」へ変貌しようとしている姿だ。


広域品川圏とは、ヒルズへの挑戦状であり、東京の主導権を巡るJR東日本の反撃なのであ

る。



広域品川圏とは?― 個別再開発を一本の線でつなぐJR東日本の都市戦略



そもそも広域品川圏とは、何なのか。


浜松町から大井町までの約6kmに点在する大規模再開発を、一つの都市圏として機能させるJR東日本の構想である。


注目すべきは、それぞれが単独の再開発ではなく、役割分担を持ちながら連携している点だ。


エリア

主な再開発

担う役割

浜松町

世界貿易センタービルディング再開発、

BLUE FRONT SHIBAURA、ウォーターズ竹芝

羽田空港との玄関・

国際交流

田町

TGMM(田町駅西口駅前地区)

札の辻地区再開発

オフィス・研究開発機能

高輪

TAKANAWA GATEWAY CITY

イノベーション・

国際交流拠点

品川

品川駅街区地区、品川駅西口地区、

品川浦周辺開発

リニア・広域交通結節点

大井町

OIMACHI TRACKS(大井町駅周辺広町地区開発)

商業・住宅・生活拠点


各再開発の詳細については、個別記事で詳しく解説している。


浜松町

田町

高輪

品川

大井町



一見すると、それぞれ独立した再開発に見える。


しかしJR東日本はこれらを「広域品川圏」という一つの経済圏として捉えている。


森ビルが一つの街で完結する「点」の開発なら、JR東日本は浜松町から大井町までをつなぐ「線」の開発といえる。




両者の決定的な違い


森ビル

JR東日本

点の開発

線の開発

街をつくる

都市軸をつくる

港区中心

浜松町〜大井町

ヒルズブランド

鉄道ネットワーク

富裕層・外資企業

国内外の巨大人流


森ビルの強みは「滞在時間」


人を呼び、


働かせ、


住まわせ、


遊ばせる。


結果として街の中で消費が完結する。



一方でJR東日本の武器は圧倒的な「移動」


  • 山手線

  • 京浜東北線

  • 東海道線

  • 新幹線

  • リニア

  • 羽田アクセス


人の流れそのものを握っている。


森ビルが街を目的地にするなら、

JR東日本は目的地そのものを書き換えられる。



勝負はインバウンド、JR東日本の鍵は「羽田空港」


この話で欠かせないのが、インバウンドの存在だ。


人口減少が進む日本において、国内需要だけで都市の成長を維持することは難しい。


一方で、訪日外国人旅行者は今後も東京の成長を支える重要な存在となる。

その玄関口となるのが羽田空港だ。


これまで羽田空港に到着した旅行者の多くは、品川駅を経由しながらも、最終的な目的地は渋谷や新宿、銀座、浅草だった。


品川はあくまで乗換駅であり、通過点に過ぎなかったのである。


しかしJR東日本が広域品川圏で目指しているのは、この人の流れを書き換えることだ。



JR東日本の本当の狙い



高輪ゲートウェイシティには国際会議場やホテル、商業施設が整備される。


品川駅周辺ではリニア開業を見据えた再開発が進み、浜松町では羽田空港とのアクセス性を活かした街づくりが進行する。


さらに大井町まで含めた広域エリア全体で、滞在・消費・交流の機能を強化。


つまりJR東日本が狙うのは、羽田空港から都心へ人を運ぶことではない。


羽田空港から流入する人々を広域品川圏に滞在させることである。


ホテルに泊まり、食事をし、買い物をし、ビジネスやイベントに参加する。

その時間が長くなればなるほど、このエリアの価値は高まる。


ヒルズが「街の魅力」で人を滞在させてきたとすれば、JR東日本は「交通結節点としての圧倒的な優位性」を武器に滞在を生み出そうとしている。


広域品川圏とは、品川再開発の総称ではない。


羽田空港という日本最大級の玄関口を取り込み、東京の新たな滞在拠点を創り出そうとする壮大な都市戦略なのである。



東京の重心は南へと移るのか


ヒルズが街をつくった時代から、都市軸をつくる時代へ。


JR東日本が広域品川圏に託したのは、一つの再開発プロジェクトではない。

羽田空港を起点に人の流れを囲い込み、滞在と消費を生み出す新たな経済圏の創出だ。


もしその構想が成功すれば、品川は東京の玄関口から東京の中心へと変貌する。


ヒルズが東京を変えたように、広域品川圏は東京を塗り替えるのか。


JR東日本による反撃の行方を、刮目して見届けたい。





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